原田泰
2011年04月12日
菅直人首相は、3月19日、自民党の谷垣禎一総裁に、東日本大震災に対応するために、副総理兼震災復興担当相への就任を打診したが、拒否された。
これについて、多くのマスコミは、拒否したことを当然と見たようだ。責任だけ押し付けられて、菅首相の政権延命策に乗せられるだけだという自民党の一部の見方を反映するような見方だった。私も、マスコミと同じように見た。しかし、一般国民はそうではなかった。この一大事に足の引っ張り合いをするより、一致協力すべきだ。自民党が国を救える力を見せれば、自然に政権に戻れる。なぜ、そうしないのかというのが、多くの国民の見方だったようだ。
◇マスコミは政治的な見方をしすぎるのではないか◇
マスコミにしろ私にしろ、大きな組織にいる人々は、政治的動きを読む。このような組織では、自分の地位を脅かしそうな若い政治家やでき る部下を難しい仕事に就けて潰そうとすることがある。少なくとも、そういうことがあると思っている人が多い。
しかし、小さな組織にいる人や組織に属さない人はそうは考えない。国民が困っているのだから、小さな利害を捨ててするべきことをすれば良い。それで個人的な成功もついてくると考える。小さな会社で、そんな政治的な動きをしていれば、会社がなくなってしまうから、つまらないことは考えない。日本人の60%以上が従業員50人未満の事業所で働いている。マスコミは、大きな組織にいる人の感覚で物事を考えすぎるのではないだろうか。
豊臣秀吉がまだ、木下藤吉郎と名乗っていたとき、越前の朝倉義景と戦っていた織田信長が近江の浅井長政の離反によって敵地に孤立した時、藤吉郎は自らしんがりを買って出た。これによって信長は無事に岐阜に退却できた(金ヶ崎の戦い)。しんがりとは、軍勢の最後尾で敵の追撃を防ぎながら逃げる危険な任務だ。これによって藤吉郎は、
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