松浦新
2011年04月26日
震災前まで6回連載した「年金マガジン」を再開します。
6回までの大筋は次の通りです。
(1)財政が厳しい年金制度は世代間格差が大きい
(2)その財政を建て直そうと、制度変更を繰り返して年金制度は複雑化している
(3)04年改革の想定は無理なものだったが、09年にさらに無理を重ねている――。
今回は、09年の想定のおかしさを指摘する予定だったが、地震が年金に与える影響を通して考えたい。
vol.1とvol.2を無料公開しています。ぜひお読みください。
※「年金マガジンネット探検隊が行く」vol.1 改革は一体どこへ
※「年金マガジン-ネット探検隊が行く」vol.2年金の仕組みから理解しよう
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【ネット探検隊】年金の現状や改革の方向性をネット上のデータを探索しながら明らかにしていく。隊長、隊員は以下の3名。
隊長:香川年男 1973年生まれの37歳。バブル崩壊後、阪神大震災の年に社会に出た。
隊員:本田景子 1985年生まれの25歳。リーマン・ショック前の平成ミニバブル期の採用。
隊員:岡崎金人 1947年生まれの63歳。団塊世代の先頭集団で、定年後も嘱託で働く。
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香川 東日本大震災は甚大な被害をもたらしています。お亡くなりになった方、ご遺族には言葉もありません。被災された方々は、時間はかかると思いますが一日も早く元気になっていただきたい。
本田 こんな時に年金の話をするのは申し訳ないような気がします。
香川 そうだよね。政府の税と社会保障の一体改革の議論も2カ月先送りされた。でも、これは生き残った人にとって避けられない問題だし、復興の財源にもかかわる話になっていく。震災前とは考え方も変わってくるかもしれない。
岡崎 その通りだ。年金には社会や経済の動きが強く影響する。今回の大震災は日本の社会・経済も大きく揺さぶっている。影響なしではいられないね。
本田 前回までの話で、年金は人口問題だけでなく、経済の問題が大きいことがわかったけれど、震災はどんな形で影響してくるかしら。
岡崎 まず、年金は銀行預金のように、預けたお金に利子がついて、それを老後に取り崩すというような単純なものではないということを強く意識する必要がありそうだ。特に、今回は東北の経済・社会基盤が大きく崩れた。年金は現役世代から引退世代への仕送りだから、経済が大きく揺らいでいる時には一定の抑制があってもいいように思うよ。
本田 さすが、現役世代への思いやりがありますね。
岡崎 そもそも、
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