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復興資金は国債で調達してもかまわない(その2)

原田泰

原田泰 原田泰(早稲田大学教授)

借金をしても政府債務残高の対GDP比は低下する

建設が進む仮設住宅=4月25日午後、仙台市太白区、山本裕之撮影
 東日本大震災からの復興のためにどのように財源を手当すべきかについては、すでに本欄「復興資金は国債で調達してもかまわない」(2011年04月05日)で書いた。理由は、簡単で、復興投資の「乗数効果」(通常の乗数とはやや異なる意味で使っている。詳しくは、04月05日の本欄を読んでいただきたい)は大きいので、借金で投資をしても、政府債務残高の対GDP比率は低下するからだ。

 東日本の山に道を通すのは大変な工事費が必要だったが、壊れたところを直すだけなら大したお金はかからない。これでその道路をすべて開通したのとほとんど同じ経済効果がある。だから、わずかな投資でGDPは大きく増える。政府債務残高対GDP比率の、分子の債務はわずかに増えるだけだが、分母のGDPは大きく増えるので、比率は低下する。

 それでも、債務残高対GDP比率は現在すでに高いのだから、将来金利が高騰するかもしれず心配だという人がいるかもしれない。しかし、その心配な現在の状況で、ほとんどの人が、金利は低すぎると不平を言っている。現在の状況では心配なく、将来は現在の状況よりも良くなるのだから、復興資金は国債で調達してもかまわないのである。

 以上の議論に対して、復興投資の他にも被災者を助けなければならない。そのための費用は、国民が広く負担するしかない。だから、やはり増税は必要だという人もいるかもしれない。しかし、

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