松浦新
2011年05月03日
これまで、国の年金の仕組みについて調べてきた。では、その現状はどうなっているのか。厚生年金、国民年金の決算を見ると、これでは国民に実態を説明しているとは言いがたいことがわかってくる。
vol.1とvol.2を無料公開しています。ぜひお読みください。
※「年金マガジンネット探検隊が行く」vol.1 改革は一体どこへ
※「年金マガジン-ネット探検隊が行く」vol.2年金の仕組みから理解しよう
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【ネット探検隊】年金の現状や改革の方向性をネット上のデータを探索しながら明らかにしていく。隊長、隊員は以下の3名。
隊長:香川年男 1973年生まれの37歳。バブル崩壊後、阪神大震災の年に社会に出た。
隊員:本田景子 1985年生まれの25歳。リーマン・ショック前の平成ミニバブル期の採用。
隊員:岡崎金人 1947年生まれの63歳。団塊世代の先頭集団で、定年後も嘱託で働く。
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香川 これまで年金の仕組みについて調べてきました。そろそろ、実態はどうなっているのか、見てみることにしましょう。まずは、最新の09年度決算を見てみましょう。
岡崎 7734億円の赤字かあ。これは大変だなあ。まだ、おれたち団塊世代の年金支給が満額になるのはまだ先だぞ。それで赤字では先が思いやられるなあ。
本田 ちょっと待ってください。下の注は何ですか。「歳入には、予算上予定していた積立金からの繰入額3兆7549億円が含まれており」って、どういうことかしら。「積立金からは合計4兆5283億円を繰り入れた」とありますね。単年度の収入で足りないから積立金を取り崩すわけでしょう。これは、4.5兆円の赤字だったということじゃない。
香川 まったくひどいなあ。お役所の発想がそのまま出ている決算だね。予算で認められた積立金の取り崩しは「歳入」に計上しているわけだ。それでも足りずに、余分に取り崩したことを「赤字」と公表しているわけだ。
岡崎 お役所は、借金した金も「歳入」に計上する大福帳みたいな決算しか作らないからね。民間企業なら、最初から赤字予算を組んでいたという理由で、予算上の赤字額の範囲であれば「黒字」とする発表はありえない。年間収入でまかないきれない赤字を放置していたら、企業は倒産する。こんな決算発表をするということは、赤字を容認していることで「足りなくなれば保険料を値上げすればいい」という意識の現れと言われても仕方がないだろう。
香川 ただ、いまは、その保険料の値上げをしている最中です。このホームページのメニューの2番目をクリックしてください。04年秋から始まって、厚生年金であれば毎年0.354%分ずつ上がっています。ですから、赤字を前提にして財政見通しを立てている時期があります。先ほどのホームページの上から7番目のメニューに「厚生年金及び国民年金の財政見通し」とあるのをクリックしてください。
岡崎 これを見ると、
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