原真人
2011年05月11日
どれほど支持率が低かろうと、ねじれ国会で国会運営につまずこうと、それでも首相の権力が強大なことを改めて実感させられた。
菅直人首相による突然の中部電力に対する浜岡原子力発電所の停止要請は、行政手続きにも、もちろん法律にも基づかない、いわば首相の独断の所作である。中電にとって虎の子の原発の停止は絶対に受け入れたくなかったはずだ。だが結局は首相要請から中2日で受け入れざるをえなかった。
ここで浜岡原発の運転継続を主張しようというのではない。むしろ私は、浜岡原発をいったん止めるのは道理だと考えている。原発の安全性と事故対策の不備がこれだけ国民の不信を買っており、国民の安心を得るための原発政策の抜本的見直しが必要だ。リスクが最も高いと言われる浜岡原発に万が一のことが起きれば、東西を結ぶ基幹交通網は寸断し、日本の生産拠点の中枢も機能しなくなる。
しかし、その決定プロセスと発表の仕方には大いに異議がある。
首相が夜に緊急会見をして突然、停止を要請した動機は何だったのか。これほど大きな政治判断が唐突に受け取られるのはなぜなのか。心の準備もさせずに電力業界や産業界を混乱に陥れる必要がどれほどあったのか。どう考えてもショックを広げる稚拙なやり方だった。
動機も解せない。第一に、なぜ浜岡だけなのか、という点だ。
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