松浦新
2011年05月16日
5月20日に予定されている東電の決算発表のポイントは次のように考えられる。
(1)政府の支援は被災者への賠償のため
(2)廃炉費用などを考えると「3兆円の純資産」では間に合わない
(3)今後も損失は出続ける
(4)東電は損害賠償を支払う「窓口」のような存在
(5)各国があきらめた「核燃料サイクル」の幻想を追い続けるのか
13日にまとまった政府の東京電力支援策は、あえてたとえれば、銀行の預金保険のようなものだ。銀行の預金保険は預金者保護が目的なので、ペイオフになれば銀行は破綻処理される。今回、国が保護する対象は、原発事故で家に住めなくなった人たちや、農業、漁業をはじめとする地域の産業などであって、東電ではない。
預金保険との違いは、事故が起きてから制度ができた逆転現象だけではない。新設される支援のための「機構」は、膨大な損害賠償を東京電力のために立て替えるが、東電はそれを返すために存続する構図になっている。
ここで、東京電力の2010年3月決算を見てみよう。売上高5.0兆円、経常利益2千億円で、総資産額13.2兆円、純資産は2.5兆円もある。昨年12月時点の第3四半期決算を見ると、この間の増資もあって、純資産はさらに3.0兆円に膨らんだ。
ただし、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください