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悲運の東北フリーブレイズの決意

一色清

一色清

 アイスホッケーアジアリーグの東北フリーブレイズの選手たちは、3月11日午後2時46分、福島県郡山市郊外にあるスケートリンク、磐梯熱海アイスアリーナにいた。翌12日から開かれるアジアリーグのプレーオフ決勝に臨む最終調整の練習が午後3時から始まるはずだった。選手たちは、防具を身につけ、スケート靴をはき、練習開始をリンクサイドで待っていた。そのとき激しい揺れが襲った。リンクの天井からは照明器具などが落ちてきた。4人いるカナダ人選手たちの驚きは特に大きく、彼らは跪いたまま外の駐車場まで這い出たという。対戦相手の韓国・アニャンハルラの選手たちはバスで福島県境に入ったところだった。大会関係者は、揺れの直後にプレーオフの開催は不可能だと感じた。結局、プレーオフ決勝は予定されていた5試合全てが中止となり、両チーム優勝となった。

 東北フリーブレイズは、名門西武プリンスラビッツが廃部となったあと、アジアリーグに参加し、今シーズンが2年目だった。チームはわずかの間に強化に成功し、1月にあった全日本選手権では準優勝、そしてアジアリーグではリーグ戦順位3位でプレーオフに進出、準決勝で日本製紙クレインズを破り、初めての決勝進出を決めていた。結果はどうなっていたか分からないが、初優勝を目指して「やりたかった」というのは、選手、関係者、ファンの誰もが思うことだった。

 東北フリーブレイズの親会社は、郡山市に本社を置くスポーツ用品販売会社、ゼビオだ。

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