原田泰
2011年05月25日
前回、マスコミは、政策分析に関する情報をもっと提供すべきだと書いたら、政治記者は政策分析をしたことがないのだから無理であるというコメントをいただいた。では、もっと率直に、政治が権力闘争であることをきっちりと報道、分析してはどうだろうか。
◇ソ連の権力闘争を権力闘争と認識していたら◇
スターリンは、まず、穏健派のブハーリンと同盟を結んで、急速な工業化や世界革命を主張したトロツキー、カーメネフ、ジノヴィエフを追放した。次に、穏健派のブハーリンを資本主義的だと非難して追放し、今度は、トロツキー等の唱えた急速な工業化を推進した。次に、自分の部下であったが人気のあったキーロフが暗殺されたことを、スパイと反革命分子を探し出すという口実にして、大粛清を行った。ソ連共産党中央委員140人のうち、殺されなかったのは15人にすぎなかった。赤軍の将官と佐官の8割が殺された。指揮官の弱体と不足が、ドイツの侵攻に対してソ連が緒戦で大敗した大きな原因だ。
もちろん、日本にいたスパイのゾルゲが、ドイツのソ連侵攻の正確な時間と場所をソ連本国に知らせていたにもかかわらず、スターリンがこの情報を無視したことも大敗の原因である。スターリンは、自らの失敗を糊塗するために、
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