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「消費税倍増計画」の「からくり」をどう考えるか

小此木潔

小此木潔 ジャーナリスト、元上智大学教授

 「4年後までに消費税が倍になるのか!?」と驚いた人も少なくないに違いない。

 5月24日付の朝日新聞朝刊に「消費税10%、15年度までに」という見出しで(東京14版)、消費増税と社会保障の一体改革を議論する政府の「集中検討会議」(議長・菅直人首相)が、消費税率を現行の5%から2倍に引き上げる方向で検討に入った、という記事が掲載された。

 税制に関心が深い人なら、「まあ、そんなことだろうさ」と言うかもしれないが、「なぜだ?、わけがわからん」「そんなに急に上がるはずがない」「ムダをなくす行革をすれば増税しなくて済むか、せめて増税の幅を小さくできるはず」「あれっ?去年の参院選の時に菅首相がいきなり消費税10%なんていって、選挙に負けたよね」「支持率の低い政権に、できるわけないさ」…などと、さまざまな受け止め方があるに違いない。

 それも無理からぬことだ。昨年の参院選では、菅首相が「消費税10%」を言い、消費税をいずれ10%にすることを打ち出した自民党案に抱きつくような戦術に出たところ、支持急落、参院選大敗の憂き目をみた。

 へたをすれば、その再現となり、「不人気首相の不人気政策」、とすらなりかねない危うさをはらみつつも、あえてこの方向へ踏み出すしかない、という状況判断から、政府はこの方向で社会保障財源をまかなうための増税方針を6月末から7月にかけて閣議決定しようと動き出している。そのあとで野党との調整を経て、増税を実現しよう、というシナリオが浮上してきたのだ。もちろん、増税に当たっては国民に信を問うというのが、民主党のもとからの路線である以上、民主党は来年の総選挙を展望している。

 しかしながら、

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