根本直子
2011年06月07日
世界的にソブリン格付けが下方向に見直されるケースが増えているが、共通しているのは適切な政策の遅れである。
従来ソブリンの格付けは、民間企業に比べて、安定性が高く、デフォルト率が低いという特色があった。外貨建て格付けのデフォルトは、過去に14件生じているが、多くはシングルB 以下の新興国であり、ロシア、アルゼンチンなどを除いては市場への影響は少なかった。
しかし2008年の金融危機以後、スペイン、アイルランドなど比較的信用力の高いソブリン格付けが低下している。ギリシャはシングルAがシングルBとなり、格下げ方向で見直し中である。
銀行危機により、金融機関への公的資金投入が増えたこと、景気対策、税収減少によって財政収支が悪化したことが背景にある。またユーロ加盟国については、期待された支援の枠組みが不確定で、債権者に負担を求める可能性が高まっている。
これらの国では政府も民間企業も、市場での調達コストが大幅に上昇している。
S&Pは今年4月に米国のアウトルックを安定的からネガティブに変更したが、
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