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「年金マガジン-ネット探検隊が行く」vol.11泥縄改革の行方(1)

松浦新

松浦新 朝日新聞経済部記者

 公的年金は、厚生年金の積立金が2011年度予算で8.4兆円取り崩されることになっているなど、深刻な事態になっている。政府の集中検討会議は年金制度を含めた改革案をまとめたが、年金財政の見通しは09年時のままだという。これは、「粉飾」を隠したまま議論を進めようというもので、まさに「泥縄改革」と言える。

vol.1とvol.2を無料公開しています。ぜひお読みください。

「年金マガジンネット探検隊が行く」vol.1 改革は一体どこへ

「年金マガジン-ネット探検隊が行く」vol.2年金の仕組みから理解しよう

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 【ネット探検隊】 年金の現状や改革の方向性をネット上のデータを探索しながら明らかにしていく。隊長、隊員は以下の3名。

 隊長:香川年男 1973年生まれの37歳。バブル崩壊後、阪神大震災の年に社会に出た。

 隊員:本田景子 1985年生まれの25歳。リーマン・ショック前の平成ミニバブル期の採用。

 隊員:岡崎金人 1947年生まれの63歳。団塊世代の先頭集団で、定年後も嘱託で働く。

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 香川 政府の社会保障改革に関する集中検討会議が「改革案」をまとめました。年金に関しては、4ページに載っていて、(1)税金による最低保障年金と、保険料による報酬比例年金を新設(2)パート労働者の厚生年金への加入を促進(3)共通番号を導入する、といった内容になっています。

 岡崎 なるほど、思い切って制度を刷新しようということだな。政権交代の成果がやっと出てくる感じだ。

 香川 よく読んでから言ってください。改革案の最後に、工程や費用の一覧表がついています。でも、「新しい年金制度を創設」のところには「所要額」が入っていません。2015年度の所要額は今回の諸制度を合計して2.7兆円とされていますが、ここに入っていないのです。2015年度にはまだできていないということですね。「現行制度の改善」は「2012年以降、速やかに法案提出」となっていますから、新年金制度は実現性が怪しいですね。民主党のマニュフェストに書いてあることだから、メンツを立てましょうという程度のことだと思いますよ。

 岡崎 その通りだなあ。2015年なんて、いまの政権があるかどうかも怪しいからなあ。比較的、実現の意欲があるのは、低所得者への加算の一方で、高所得者の年金給付の削減かあ。これも、なんとも中途半端な金額になってるなあ。

 香川 内容が中途半端なだけじゃなくて、年金は保険料方式で運営されていることになっているわけですから、保険料を納める期間が短くて、年金額が少ない結果になっている人に加算をして、きちんと年金を納めてきた人の年金を減らすとなると、「保険料方式」と言っていることが怪しくなります。やるなら、最低保障は税方式としている新年金制度でやってもらわないとなあ。

 本田 もともと、

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筆者

松浦新

松浦新(まつうら・しん) 朝日新聞経済部記者

1962年生まれ。NHK記者から89年に朝日新聞社に転じる。くらし編集部(現・文化くらしセンター)、週刊朝日編集部、オピニオン編集部、特別報道部、東京本社さいたま総局などを経て現在は経済部に所属。共著に社会保障制度のゆがみを書いた『ルポ 老人地獄』(文春新書)、『ルポ 税金地獄』(文春新書)、『負動産時代』(朝日新書)などがある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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