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失敗と向き合い、リンカーンのようにフクシマ演説をして欲しい

原田泰

原田泰 原田泰(早稲田大学教授)

 歴史的大勝利で登場した民主党政権が、うまくいっていない。野党やマスコミは盛んに攻撃しているが、不信任案騒ぎの前までの世論調査によると、菅総理はすぐ辞めるべきだという人がそれほど多いわけではなかった。うまくいっていないのは自民党時代からで、民主党政権のせいだとも思えず、また、自民党政権なら地震復興も原発処理もうまくいくとも思えないからだろう。

 確かに、今回の東日本大震災では、阪神・淡路大震災より、二つの点で復興が難しくなっている。一つは原発事故で、もう一つは津波で土地がなくなってしまったことだ。阪神・淡路では瓦礫を片付けた後、道路を広げて建物を建てればよかったが、今回は土地が沈下して建てることのできる土地が物理的に減っている。客観的に見て、今回の方が、対応が難しい。

 基地問題を含む日米関係、台頭する中国とロシアの復興への対応、長期に停滞する経済、TPP対応、高齢化と社会保障、財政赤字、震災復興、原発対応と、政府がなすべき課題は多い。

 これらの問題について明確なメッセージを発信している政治家は残念ながらいないようだ。すべての政治家が、何かを言うことは誰かを敵にすることで、敵が増えれば担がれないと思っているようだ。確かに、色が着いていないから担ぎやすいなどといわれる。しかし、政治家とは自分のビジョンを発信して支持者を集める人間ではないか。日本の政治指導者の選択システムは何かおかしい。

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