原真人
2011年06月17日
福島第一原発事故ショックは世界の原発の潮流を大きく変えている。ドイツ、スイスに続いてイタリアも脱原発の道を選んだ。
日本はどうするか。ドイツやイタリアと同じ道を選べるのか。そう簡単ではないだろう。脱原発には、周到で、念入り、そして緻密で、秩序だった長期プロジェクトの覚悟が必要だ。少なくとも辞任秒読みの政権が拙速に決めるような問題ではないだろう。
朝日新聞14日付朝刊に掲載された世論調査結果をみると、この難題に世論は絶妙なバランス感覚を見せた。
定期検査で運転停止している原発に関して、安全対策が達成されれば再開に賛成なのは51%、反対が35%。足元で電力不足の状況がある以上は、当面の原発稼働はやむをえない、という声が多い。ただし「原発を段階的に減らし、将来はやめる」という設問には、賛成が74%にのぼった。反対はわずか14%だ。つまり、当座は原発に頼らざるを得ないが、中長期的に脱原発に向けて舵を切り直せ、という声である。
私もこの世論調査結果におおむね近い意見だ。日本のエネルギー事情や経済環境を考えれば、即時廃止はきわめて難しいものがある。20~30年かけて脱原発の道筋を決め、そのために手を打つ。たとえば自然エネルギーの普及、火力発電所からの二酸化炭素除去技術の開発、省エネ技術のいっそうの推進、そして足元では二酸化炭素25%削減目標の抜本的見直し(取り下げ)などだ。
私たちが選ぶことのできる選択肢を整理すると、大きく分けて次のようなものになる。
(1)安全対策をとって原発拡大 →【これまでの政府方針】
(2)安全対策をとって現状維持 →【菅首相が選んだ道】
(3)数十年かけて段階的廃止 →【世論調査で大勢支持】
(4)早期に脱原発 →【現実に起きている動き】
世論調査結果や私の意見は(3)に該当する。しかし、現状はといえば、
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