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 社会保障と税の「一体改革」を議論してきた政府の「集中検討会議」(議長・菅直人首相)がまとめた改革原案は、ようやく「たたき台」ができたことを意味するにすぎない。これをもとに早急に政府・与党案をつくり、その後の与野党協議や国会審議を通じて国民ぐるみででおおいに議論しなくてはならない。

 菅首相の不信任案・退陣騒動のどさくさにまぎれて、この重要な政策課題が棚上げされたり、先送りされたりしてはいけない。そうなれば、政治が社会保障と税制の改革にまったく無力であることが白日の下にさらされ、世界の投資家が日本国債の投げ売りに出るなどして新たな金融危機・不況の泥沼に日本経済が沈むことになるかもしれない。そうならないためには、政治全体がこのテーマから逃げずに、真正面から向き合っていかねばならない。

 与謝野馨氏から提案・発表された改革原案は、消費税率を2015年度までに段階的に10%に引き上げ、使い道は社会保障に限るむね法律でしばっていくことを明確に打ち出した。社会保障の改革・強化をうたっているが、財政再建路線の色合いが濃い。それはやむをえないともいえるが、それにともなうさまざまな問題を内包している。まさにこれ「たたき台」として活用し、国民ぐるみの議論を通じてよりよい改革案を練り上げていくことが必要である。

 とはいえ、この原案には多くの問題や吟味すべき点がある。

 まず第1に、増税幅が真に妥当であるか。別の言い方をすれば、 ・・・ログインして読む
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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で記者をしてきた。近年は日本の経済政策や世界金融危機など取材。2009年5月から東京本社論説委員室勤務、11年4月からは編集委員も務め、14年4月から現職。著書に「財政構造改革」「消費税をどうするか」(いずれも岩波新書)、「デフレ論争のABC」(岩波ブックレット)。

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