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30代のチームに明日はない

一色清

一色清

阪神が強さも兼ね備えた本当の全国区の人気球団になったのは、ここ10年ほどのことだ。それまではダメ虎を嘆いてばかりいたファンだが、勝つ味を覚え、チームに求める水準が高くなった。巨人が抱えている「常勝の宿命」を阪神も意識せざるを得なくなっている。

 この「常勝の宿命」は、チーム作りには足かせにもなる。毎年優勝を目指さないといけないわけだから、選手の育成より目先の勝ちを追いかけることになる。私は最近の阪神に生きのいい若手が出てこないのは、こうした呪縛にとらわれているからだと思っている。

 今の阪神のレギュラーメンバーに20代前半の選手はいない。交流戦最後の楽天戦のスターティングメンバーを見ても、20代はマートンと鳥谷の二人だけで、しかも二人とも29歳。あとは全員30代で9人の平均年齢は32歳になる。開幕以来のメンバーを見ても、俊介が23歳、上本が24歳だが、今は主にベンチを温めている。

 若手を育てず、目先の勝利を求めていると私が感じる一例は、榎田の起用法だ。今年のドラフト1位の新人、榎田は絶妙のコントロールで中継ぎで活躍している。防御率は20日現在で1.71。立派な成績だ。でもなぜ中継ぎで起用するのか。中継ぎ投手の重要性が昨シーズンまで高まっていたのは分かっているが、今年のプロ野球は30年前の野球に戻ったかのように先発投手の重要性が増している。今シーズンから導入された「飛ばない統一球」の影響だ。

 投手成績を見ても、完投数が増えていて、ダルビッシュは5完投の4完封、能見は4完投の1完封といったように登板した試合の半分とか3分の1とかを完投している投手が多い。そして各チームには、ダルビッシュのほか、田中(楽天)、唐川(ロッテ)、涌井(西武)、内海(巨人)、吉見(中日)、由規(ヤクルト)、前田健(広島)などときら星のごとく20代半ばまでの先発完投型の投手がいる。いないのは阪神くらいではなかろうか。昨シーズン終盤に出てきた高卒一年目の秋山が期待されたが、今シーズンは二軍生活が続いている。

 となると、

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筆者

一色清

一色清(いっしき・きよし) 

【退任】週刊紙「アエラ」前編集長。1956年生まれ。78年朝日新聞社に入り、経済部記者、「アエラ」編集部員などを経て、2000年「アエラ」編集長。beエディター、出版本部長補佐などを経て、08年10月から「報道ステーション」コメンテーターを務めた。「アエラ」副編集長時代には、中吊り広告下の一行コピーを担当。2012年1月まで「WEBRONZA」編集長。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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