榊原英資
2011年06月30日
震災、そして原発事故の結果として節電が今夏以降の日本経済の課題になっている。
第2次世界大戦後の物不足のなかで、停電などが相次いだことは過去になかったわけではないが、高度成長期以降、節電を意識させられたことは今まではほとんどなかった。電気、そしてエネルギー一般がほぼ無尽蔵に存在し、需要は常に満たされるという前提があったのが高度成長以降の日本だった。
少し視野を広げて見れば、それは産業革命以降の近代資本主義の大前提のひとつだったということもできるのだろう。
しかし今回の福島の原発事故は原子力発電そのものの妥当性を問い、またエネルギー供給に限界があることを世界に知らしめることになったのだ。
化石燃料にも供給の限界、そして環境問題があり、原子力もということになると「無限」のエネルギー源を背景に成長を続けてきた近代資本主義がひとつの大きな壁に突き当たったということになる。エネルギーに加え食糧にも供給の限界が見え始めてきている。
供給の問題だけではなく、
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