小此木潔(おこのぎ・きよし) ジャーナリスト、元上智大学教授
群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。経済部員、ニューヨーク支局員などを経て、論説委員、編集委員を務めた。2014~22年3月、上智大学教授(政策ジャーナリズム論)。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)など。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
小此木潔
これは原発・新エネルギー政策に限らず、すべての政策に言えることだ。財政改革しかり、社会保障改革しかり、である。総選挙のテーマとしてエネルギー政策の転換がふさわしいと本気で考えているのなら、その考えをちらつかせる程度で終わらせるのでなく、もっと堂々と語るべきではないのか。やるなら、小泉氏のように「愚直」に(私は小泉路線には誤りや弊害が多かったと考えているのだが、愚直とみえるしたたかなスタイルだけは評価したい)やらなくては、話にもならない。周囲を失望させたり、不快にさせて終わるだけである。
あだやおろそかにエネルギー政策と選挙をからめて、いかにも「何か持っている」かのように思わせぶりな態度をとるのは、不真面目にすぎる。腹案があるなどと言っていた「方便」主義の鳩山前首相を思い出し、よけいに不快指数が高まってくる。政権交代後のオウンゴール連発はいいかげんにやめてほしい。
気の毒だが、菅首相のこれまでの言動を見る限り、単なるこけおどしとしか思えないのである。解散という展開もありうると思わせておいて、あわよくば多少の延命効果を、と小手先の策を弄しているようにしか見えない。
もっとも、
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