城繁幸
2011年07月14日
「東大が秋入試への移行を検討」というニュースが、教育界、産業界を巻き込んで大きな話題となっている。大学のグローバル化が直接的な狙いらしいが、実はこれは雇用問題全般に大きなインパクトを与える可能性のある改革案でもある。
仮に、東大をはじめとする一部の上位校で秋入学、秋卒業が定着したとする。企業から見ると、同じ「平成〇〇年度入社」であっても、4月入社新人と10月入社新人の2種類がいるということになる。この2種類の新人を同じ初任給、昇給システムの枠に放り込むのは、やや整合性に欠ける。
さらにいえば、10月入社者の中には、入試後、秋入学までの半年を寝て過ごしたものと、短期留学やNGO,NPO活動でOJT経験を積んできた者とが混在しているだろう。これらを横並びの初任給で遇するのは明らかに無理がある(もし、秋入社ではなく翌春入社に繰り下げれば、トータルでギャップイヤーは1年間となり、多様性の幅はさらに広がる)。
こういう状況で、それでも「新人は一律の初任給から」とやってしまう企業には、半年間、昼寝をしていた学生しか集まらないものだ。企業としては、もっともいらないタイプの人材だろう。
ではどうするべきか。
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