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ボーイング787「ドリーム」の陰にひそむリスク

木代泰之

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

B787の機種部分

 ボーイング社の新世代機「ドリームライナー787」が日本に飛来し、今年秋には全日空の国内線に就航する。三菱重工はじめ世界の企業50社以上が参加した国際水平分業の最新鋭機だが、技術革新ゆえのトラブルに次々と見舞われ、就航が予定より3年も遅れた。

 主翼と胴体の結合部分の強度不足、ファスナー(接合用部品)の不具合、一部設計のやり直しなどいろいろあり、最後まで手こずったのがジェットエンジンだった。ロールスロイス製「トレント1000」とGE製「GEnx」の2種類があるが、全日空に納入する「トレント1000」が昨年8月、テスト中に爆発事故を起こした。

 米専門誌のAviationweekによると、潤滑油が漏れ出してエンジン後方のタービン部分で発火し、タービンシャフト(軸)が高温で軟化して制御できなくなり、タービンが分解・飛散して破片がエンジンカバーを貫通したという。

 ロールスロイス製のエンジンは、今使われている「トレント900」も昨年11月、カンタス航空のエアバス機(A380)でよく似た事故を起こしている。同機はシンガポール空港を離陸して間もなく、タービン部分から漏れ出た油が発火し、タービンを破損してエンジンが停止し、破片で主翼に穴があいた。シンガポール空港に緊急着陸して乗客・乗員459人は無事だったが、あやうく大惨事になるところだった。

 同社は「カンタス機でのエンジン事故はトレント1000の事故とは別物」と、完成直前の787への影響を抑えるのに懸命だった。しかし、エンジン内で油漏れ→発火→高熱→タービン破損という流れは同じ。何か共通した問題があったと見るのが自然だ。

 787用のエンジンは、「トレント1000」も「GEnx」も、

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