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 ユーロ圏加盟国の、ギリシャに対する金融支援策がまとまり、無秩序な債務不履行(デフォルト)が金融市場を混乱させるというシナリオは一応回避できた。

 一方で格付け会社はギリシャのソブリン格付けは、選択的なデフォルト(セレクティブデフォルト、SD)に該当する、と表明している。その理由と今後の金融市場への影響を考えてみたい。

◇債権者にとっての資産価値は減価◇

 ギリシャ国債を保有する民間銀行は、保有する既発債を額面で30年債と交換する、あるいは償還後30年債に再投資するといった、4つの選択肢のどれかを選ぶことになる。

 債券の発行体が、債券を投資家から買い戻す、いわゆる債務の再編は珍しいことではなく、例えば債券価格が低下した際に、債務を減らし、利益を計上するために行われる。しかし、以下の条件に該当する場合、S&Pでは、これを選択的なデフォルトとみなす。

 第一は、債務の再編が受け入れられない場合、発行体が法的整理などのデフォルトに陥る可能性が高いケースである。第二は、債務再編の結果、投資家の受け取る価値がもとの契約に基づく価値を下回る場合である。

 ギリシャは、EU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)の支援に依存しており、1があてはまることは明らかである。また2についても、新しく発行される債券がより長期であるため、投資家にとっての条件は悪化する。現在のギリシャの状況をかんがみると、投資家が合理的な判断で、これほど長期の債券を購入するとは考えにくい。

 選択的デフォルトといっても、

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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

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