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〈第5回〉原発は安くない

 東日本大震災からの復興が遅れている大きな要因に原発の事故がある。復興増税論とは話がずれるが、これについても私の考えを述べておきたい。原発の代替が電力使用の大規模な節約や自然エネルギーであるかのように議論されているのは間違っている。

 

◇原発の代替は自然エネルギーではなくて火力である◇

 原発の代替は火力である。そもそも、日本のCO2排出量は世界の4%にすぎない。原発を火力に代えても、日本のCO2排出量が世界の5%に増え、世界全体の排出量と化石燃料使用量が1%増えるだけだ。この1%をどうしても削減する必要があるなら、別に日本が削減しなくてもよい。エネルギー効率の悪い国に日本が技術援助をして、エネルギー効率を高めれば、世界で1%削減することは可能である。

 原子力を自然エネルギーで代替しようとすれば大変なコスト高になる。もちろん、技術が進んで、いずれ太陽光発電でも、今までと同じコストで電力を生みだすことができるようになるかもしれない。しかし、今の技術水準では、電力料金を5倍程度に引き上げなければならないようだ。風力や地熱ならもう少し安いようだが、いずれの自然エネルギーも、現在の原子力に置き換わるだけの量はなさそうだ。しかし、火力を使えば、別に何の問題もない。

 

◇原発は安くない◇

 実は、私はごく最近になって知ったのだが、原子力発電を推進してきた経済産業省の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト等検討小委員会も、「原子力発電全体の収益性等の分析・評価としては、他の電源との比較において遜色はないという従来の評価を変えるような事態は生じていない」と言っている(2004年1月23日)。すなわち、原子力は、他の発電方法に比べて、安価なのではなくて、同等だと言っている。しかも、従来からそうだと言っているのである。

 さらに、この中に、

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筆者

原田泰

原田泰(はらだ・ゆたか) 原田泰(早稲田大学教授)

 早稲田大学教授。1974年東京大学卒業後、同年経済企画庁入庁、経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長などを経て、2012年4月から現職。「日本はなぜ貧しい人が多いのか」「世界経済 同時危機」(共著)「日本国の原則」(石橋湛山賞受賞)「デフレはなぜ怖いのか」「長期不況の理論と実証』(浜田宏一氏他共著)など、著書多数。政府の研究会にも多数参加。

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