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食料自給率の低下がなぜ問題なのか?

山下一仁

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 農林水産省は、ここ数年間40%で推移してきたカロリー・ベースでの食料自給率が2010年度に39%に低下したと発表した。

拡大コメには高率の関税がかけられている
 食料自給率は、農林水産省が作ったプロパガンダの中で、最も成功をおさめたものである。60%も食料を海外に依存していると聞くと国民は不安になるからだ。1999年に制定された「食料・農業・農村基本法」は食料自給率向上目標を設定することを規定した。これに基づき閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」では、1960年に79%だった食料自給率を自民党時代には45%に、民主党政権になってからは50%に引き上げることを目標とした。

 しかし、食料自給率とは、現在国内で生産されている食料を輸入品も含め消費している食料で割ったものである。したがって、大量の食べ残しを出し、飽食の限りを尽くしている現在の食生活(食料消費)を前提とすると、分母が大きいので食料自給率は下がる。逆に、餓死者が出た終戦直後の食料自給率は、海外から食料が入ってこないので100%である。分母の消費の違いによって食料自給率は上がったり下がったりするのだ。

 本来、食料安全保障とは、 ・・・ログインして読む
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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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