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ガソリン車の逆襲

木代泰之

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 次世代自動車をめぐる競争が激しくなっている。トヨタは来年にも家庭用コンセントで充電できるプラグインハイブリッド(PHV)車を売り出すほか、8月23日には米フォードとハイブリッド(HV)の共同開発で合意した。先進国で強化される燃費規制をテコにHVの仲間を増やし主導権をとる作戦だ。電気自動車(EV)は日産と三菱が先行し、水素で走る燃料電池(FC)車の研究も進んでいる。

 次世代車の候補はほぼ出そろった。では伝統のガソリン車は未来がないかと言えば、むしろ逆である。EVやFC車は研究が進むほど利用の限界が見えてきたが、ガソリン車はエンジンを中心にまだ改良の余地が大きいからだ。

 マツダは今年6月に発売した「デミオSKYACTIV(1300cc)」で、リッター30kmというHV並みの低燃費を実現し、業界を驚かせた。エンジンはガソリンと空気の混合気の圧縮比を高くするほど出力が大きくなるが、逆にノッキング(異常燃焼)が起きやすくなる。マツダは1947年に考案された「ミラー・サイクル・エンジン」を土台に工夫を重ね、普通10倍が限界とされる圧縮比を14倍にまで高めながらもノッキングをなくすことに成功した。

 下位メーカーでHV技術を持たないマツダが、新奇な技術開発に流れず、エンジン技術の本筋を歩んで画期的な低燃費を実現した。トヨタもホンダも「伝統技術をここまで高めるとはすごい。挑戦に拍手したい」と評価する。

 同社は45年ほど前、

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