森永卓郎
2011年09月05日
民主党がガラガラと音をたてて崩れていく。そんな思いで、私は民主党の代表選挙をみていた、あの熱気溢れた政権交代から2年で、本来の民主党は跡形もなく消えてしまったのだ。
私が言う本来の民主党とは、自民党が隷属してきた(1)アメリカ、(2)財界、(3)官僚との関係を根本から見直し、新しい政治経済体制を作ろうとする理念を掲げた政党だ。その民主党が理念を完全に捨て去ってしまった。
まず対米関係では、野田新総理は、組閣を前にした9月1日、オバマ大統領と電話で会談し、9月下旬のニューヨークでの国連総会の際に、首脳会談を行う方向で調整することになった。野田総理がどのような対米関係を構築するのかはまだ不明だが、普天間飛行場の辺野古への移転方針は揺るがないだろうし、円高は続くことになるだろう。対米配慮で思い切った金融緩和に踏み切ることができないとみられるからだ。
財界に対しても、野田総理は、経済三団体のトップと相次いで会談した。組閣前の会談は極めて異例だ。財界からは、法人税の引き下げやTPPへの参加などの要求が繰り返されたが、野田総理は否定していないので、その方向に進んでいくのだろう。民主党政権が発足した当時の小沢一郎幹事長は、財界とは面談さえしなかった。
官僚に対しても大きな配慮をしている。野田総理は、組閣で、
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