メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

円高ダメージを過度に深刻視するな

藤井英彦 株式会社日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

 円相場の高止まりが続いている。円ドル相場は7月に入り既往最高値を更新し、その後、70円台後半の推移だ。生産水準の回復など、漸く日本経済が大震災からの立ち直る目途が立ち始めてきたなか、未曾有の円高が進行した。

 今回は単なる価格競争力の低下に伴う輸出懸念ではない。既往最大の円高と電力制約リスクを受けた海外流出再加速の懸念が上乗せされたからだ。少子高齢化に拍車が掛かるなか、海外流出が拡大して空洞化が進めば、バブル崩壊後20年間苦しんできた低成長からさらに下方屈折する。マイナス成長への落ち込みも視野に入る。

 最近の円高は進行ペースが早い。米国FRBが発表する円以外の取引通貨を含めたドル相場指数をみると、2006年から08年央までは円相場を上回るスピードでドル安が進行したものの、リーマンショック後スピードが鈍り、本年4月以降は一進一退だ。円ドル相場が、リーマンショック後、進行ペースが加速し、本年4月から7月に一段と上昇した動きと対照的だ。突出した円高は海外流出加速のトリガーになる。

 しかし、

・・・ログインして読む
(残り:約1091文字/本文:約1539文字)