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民主党の「自民党化」を考える

就任後、初の記者会見をする野田佳彦首相=9月2日午後5時24分、首相官邸

 手堅くスタートしたはずの野田政権が、鉢呂経産相の辞任でつまずいた。だが、ベテラン枝野氏の経産相起用で、(野党は菅政権の官房長官ということで攻撃はするだろうが)当面は大きな傷とならずに済むのではないか。私はこの政権の今後を考えるうえで、むしろ、いま野田首相が心がけている政権運営のシステムづくりに注目している。

 政権運営のシステムとは、野田政権が決めた次のような方針を指す。

 

(1)政策決定には民主党の政調会長の承認を必要とする

(2)事務次官会議を復活する

(3)国家戦略会議(仮称)を設置する

 これらの動きを「自民党化」と称して批判する声もある。

 たしかにそうかもしれない。自民党政権下では、党の政調部会や総務会を経ないと法案が認められなかった。(1)と同じだ。事務次官会議も当たり前のように開かれていた。(2)はその復活である。(3)の「国家戦略会議」は、いわば小泉政権時代の経済司令塔となった「経済財政諮問会議」のようなもの。

 では政策決定システムの先祖返りは悪いことか。私はそうは思わない。これらの改革案は政権政党としてはむしろ歓迎すべきもののように思える。「自民党化」というと、古い体質への巻き戻しとか、民主党らしさを失うとか、悪いイメージで語られがちだが、野田首相は鳩山、菅両政権を内から見て、政権運営の失敗の本質を見抜き、少なくとも自民党のシステムで見習うべきは見習おうとしているのではないか。

 民主党政権では、

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