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たばこ増税を社会保障の財源に

小此木潔 ジャーナリスト、元上智大学教授

 たばこ1箱「700円台ぐらいまでは」値上げすべし、と小宮山厚労相が言ったことについて愛煙家などが反発する気持ちも、わからなくもない。私自身、禁煙と解禁を繰り返してきたことも一因かもしれないが、小宮山さんが「700円でも税収が減らない」という見立てを論拠にしているとしたら、「健康のためなのか、税収のためなのか、それとも…」と毒づきたくもなる。ほんとに健康のためという健康原理主義なら、いっそのこと、たばこの販売禁止でも唱えるのが筋ではないか。税金が取れる範囲での禁煙の勧め、などというのではおかしすぎる。

 とはいえ、よくよく冷静に考えてみれば、喫煙がもたらす社会的リスクという観点から、喫煙に伴う課税を強化することは理にかなっているのではないか。私にはどうも、そう思えてならないのである。

 理由のその1は、まず喫煙が発がんなどで医療費の増加の一因となっていると考えられる以上、社会保障費の負担において喫煙者により多くの負担を求めることは合理性があるのではないか、ということである。第2に、

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