原田泰(はらだ・ゆたか) 原田泰(早稲田大学教授)
早稲田大学教授。1974年東京大学卒業後、同年経済企画庁入庁、経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長などを経て、2012年4月から現職。「日本はなぜ貧しい人が多いのか」「世界経済 同時危機」(共著)「日本国の原則」(石橋湛山賞受賞)「デフレはなぜ怖いのか」「長期不況の理論と実証』(浜田宏一氏他共著)など、著書多数。政府の研究会にも多数参加。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
■日本のマネタリーベースは増えていないという事実
中央銀行が直接コントロールできるマネー、マネタリーベースを、日本と主要国について見たのが以下の図である。ここから明確に読み取れるのは、他国が2倍から3倍に増やしているのに、日本は10%しか増やしていないという事実だ。これでは日本の円が高くなり、他国の通貨が安くなるのは当然だ。日本もユーロ圏のようにマネタリーベースを増やせば、ユーロ100円割れにはならないだろう。これがなかなか理解されず、議論の俎上にのらないのが私には不思議である。
■円高は隕石の落下のようなものだろうか
「ユーロ100円割れはあるのか」などという記事が、経済誌や新聞の経済面に踊るようになっている。
ユーロが100円になるほどの円高になっては大変だというニュアンスでの記事だが、円高とは日本に対処できないことなのだろうか。確かに、地震や台風や隕石が落ちてくるのを止める方法はない。しかし、それでもなんとか対処できるようにと、人類は必死になっている。6500万年前の巨大な隕石の衝突が恐竜を滅ぼしてしまったのだと聞けば、隕石の衝突はなんとでも避けて欲しいと、誰でもが思うだろう。
もし、巨大な隕石が地球に衝突することが確実ならば、世界中の冨のすべてを使ってでも、巨大なロケットで核兵器を隕石に打ち込んで軌道を変えるなど、あらゆる方法で衝突を阻止する価値がある。
しかし、そもそも、円高、ユーロ安などというものは、隕石が落ちてくるようなものなのだろうか。
■円レートは通貨と通貨の交換比率
「ユーロ100円割れ」という言葉からも示唆されるように、
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