2011年10月10日
スティーブ・ジョブズ氏の功績は、iPodやiPhoneなど画期的な製品を生みだした点だけにあるのではない。この30年間の米国の産業構造の大転換をリードしたのが他ならぬ彼である。自動車や電機製品を作る従来のモノづくり型産業から、ITやハイテク産業中心の米国へ。競争力を失った産業が退出し、それに代わる新産業がベンチャーから生まれてくるという新陳代謝の形を自ら体現して見せたのだ。
この新陳代謝こそ米国の力だった。シリコンバレーだけではない。東部の街ボストンはバイオテクノロジーや遺伝子工学のベンチャー集積地になり、ニューヨーク州都アルバニーでは100社を超すベンチャーがナノテクセンターを形成している。次の準備が始まっているのだ。
日本はといえば、残念ながらベンチャー企業が独自の技術や事業モデルを世界に広めた成功例は(戦後のホンダやソニーを除いて)まだ少ない。日本人の頭脳が米国人に比べて優れていないわけではなく、
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