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「逃げ水年金」とさるかに合戦

松浦新 朝日新聞さいたま総局記者

 猿が柿を食べ終わったところに、かにがおにぎりを持って歩いてきた。手の中に残っている柿の種を見て思いついた猿が、かにに声をかけた。

 「おにぎりは食べたらおしまいだけど、この種をまけば、おいしい柿がいっぱい取れるよ。交換しないかい」

 ご存じ、さるかに合戦だが、私は、いまの年金制度はこの昔話になぞらえることができると思っている。

 柿の種(年金)は、いまは食べられないが、大切に育てればいずれ実をつける。だから、おにぎり(保険料)と交換しよう。きっと君たちが年をとったらいっぱい実をつけて、たくさん食べられる。いまは我慢が大切だよ。

 「100年安心」をうたった2004年の年金改革が、たった7年で国民を不安に陥れている。年金支給年齢を68歳に再引き上げしようという「逃げ水年金」の問題は、その象徴でしかない。狡猾なさるであればこう言うのかもしれない。

「そろそろ実がなるはずだったのに、おかしいなあ。もうちょっとがんばってみようか」

 しかし、だまされてはいけない。さるかに合戦では、

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筆者

松浦新

松浦新(まつうら・しん) 朝日新聞さいたま総局記者

1962年生まれ。NHK記者から89年に朝日新聞社に転じる。くらし編集部(現・文化くらしセンター)、週刊朝日編集部、オピニオン編集部、特別報道部、経済部などを経て現在は東京本社さいたま総局に所属。共著に社会保障制度のゆがみを書いた『ルポ 老人地獄』(文春新書)、『ルポ 税金地獄』(文春新書)、『負動産時代』(朝日新書)などがある。

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