メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

加わった自然災害リスク、八方ふさがりのものづくり

安井孝之

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は24日の記者会見でタイの洪水の影響を聞かれ、「自然災害は起きたら準備した対応策を実行し、対応できるが、円高は私たちにはどうにもできない」と嘆いてみせた。

 確かに1ドル=75円台に突入した円高は一企業の力では為す術はなく、輸出産業は深刻な影響を受ける。だが、東日本大震災で途絶したサプライチェーンがようやく復旧したと思ったら、タイの洪水である。粛々とBCP(事業継続計画)を実行する以外にないにしろ、日本のグローバル企業は自然災害という新たなリスクを抱え込んだ。

 取引先企業の海外進出を支援する部署のメガバンク幹部は、タイの大洪水の被害状況に忸怩たる様子だった。

 「初めての海外進出ならタイがいいです」

 こうアドバイスをすることが多かったからだ。他の東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国に比べインフラは整備され、親日性も高い。苦労は少ない。だが、今回の大洪水で「これからは洪水のリスクがあります」と言わざるを得なくなった。

 タイへの日本企業の進出は90年代に急増し、

・・・ログインして読む
(残り:約1202文字/本文:約1652文字)