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EUサミット合意に投資家が懐疑的な理由

根本直子

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

 欧州連合・ユーロ圏首脳会議では、債務危機対応策として、ギリシャの債務削減、欧州金融安定基金(EFSF)の強化、金融機関の資本増強が合意された。

 EUが協調して債務危機に取り組む姿勢が示されたことは前進といえるが、今後欧州経済が安定化していくためには、多くの課題が残されている。

 発表後の27日、イタリアの国債のCDS(クレジットデフォルトスワップ、信用リスクをヘッジする際に要求されるコスト)のスプレッドは若干拡大した。10月28日時点では383ベーシスポイントと、今年6月の158ベーシスポイントに比べて高い。これは、投資家が、信用リスクの改善について、引き続き懐疑的なことを示している。

 今回の合意では、金融機関に対して、2012年6月までに、コモンTier1比率で9%の水準を求めるという。7月に実施されたストレステストの合格ラインである5%に比べて2倍近い目標であり、金融機関の損失吸収力は高まることになる。

 しかし、日本の銀行危機の経験からみても、

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