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TPP交渉参加問題と「落日の日本」

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 いったんTPP交渉に参加した場合、それからの離脱が可能かどうかを巡って、議論が戦わされている。制度から考えてみよう。

 交渉参加国は、(1)交渉の結果できあがった協定になお不満であれば、署名しなければ良い、(2)政府が署名しても、議会は批准・承認しないことができる。さらに、(3)協定に参加した後、不都合が生じた場合、協定の修正を要求することができるし、修正交渉が実らない場合、最終的に通知をするだけで脱退することができる。

 実際に、TPP交渉の基になっているニュージーランドやチリなどが参加している協定では、第20.4(発効)、20.7(修正)、20.8(脱退)に規定されている。TPPに限らず、一般的に条約や協定では、このような規定が通常置かれている。これは主権国家から構成される国際社会では、主権国家の意思を拘束するような世界政府は存在しないので、当然のことである。

 過去の国際交渉で、交渉から離脱した例はないのだろうか?京都議定書では、

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