常見陽平
2011年11月05日
■「求人質」の時代がやってきた
「普通の学生受難の時代」――。
日本経済新聞が10月23日夜の電子版で報じた「大卒内定4年ぶり増加 来春2.2%増、製造業けん引」という報道から私が感じたことである。
この調査によると大卒の内定人数は2011年4月実績数73,535人に対して75,117人と2.2%増加している。しかし、その内訳を見ると牽引しているのは理工系であり、7.7ポイントのプラスとなっている。文科系においては2.3%の減少となっている。また、短大・専門学校高専卒、高卒は対前比でともに約11%ダウンしている。
何が起こっているのか?
たしかに、求人は回復傾向にあった。同社が6月20日に発表した「2012年春の採用計画調査」によると、大手、準大手を中心とした約4,000社においては、大卒の求人数は対前年比で13.7%増となっていた。12年春の大卒採用を前年より増やすと回答した企業は全体の62.5%に達していた。なお、この調査は毎年春に実施しているのだが、震災があったために、今年は追加で調査を行なっている。リクルートワークス研究所が発表した求人倍率調査においても、全体の求人倍率は2011年度の1.28倍から2012年度は1.23倍にわずかに減少したが、大手企業を中心に回復傾向は見られた。
ただ、問題は中身だ。特に企業が重視する人材は3つである。(1)グローバル人材(2)イノベーター人材(3)機械・電気・情報を中心とした理工系人材である。主に増加したのはこの層が中心だ。厳選採用の姿勢は相変わらずで、
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