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 今ではすっかり就活の人、新卒採用の人だと思われている私だが、実は昔は派遣の人だった。女性向け転職情報誌の編集部に在籍していたことがある。私の担当領域はまさに派遣で、この分野向けの商品・サービスを担当していた。今回のテーマは「製造業の派遣禁止の削除で雇用と格差はどうなるのか」ということだが、その時の経験と、現在、大学でキャリア教育を担当している立場から意見を言わせて頂きたい。

 当時若手社員だった私は、実に複雑な心境で派遣領域を担当していた。ズバリ、派遣という働き方は若者を幸せにするのか?このことに、私は曖昧な不安を抱いていた。

 当時のこの女性向け転職情報誌において、派遣業界からの広告は大きなウェイトを占めており、表まわり(表紙の裏や背表紙など)に載る広告はすべて派遣会社の募集広告だった。編集記事も「派遣推し」で、「派遣で脱フリーターに成功」「派遣なら、残業をせずに働ける」など、あたかも派遣は希望の楽園であるかのように喧伝されていた。

 本当だろうか?

 クライアントである人材派遣業界の方に聞くと、当時の実情はクビをかしげる状態だった。営業に行っても「若い人をくれ」と要望される。なんでも、派遣スタッフをマネジメントするのは若手の主任~係長クラスということが多く、彼らにとって使いやすいのは若い女性ということらしい。ということは、年齢が上になったらマッチングしづらいのではないか?

 法律では禁止されているはずの事前面接ももちろん行われていた(もっとも、企業側からすると、ミスマッチ解消という意味もあるのだが)。そして、一部の派遣会社は明確なサービスの違いがない状態での競争となっており、いかに早くマッチングするか、料金競争で競り勝つかということを競いあっていた。それこそ、2時間でスタッフをマッチングする、1人の料金で2人入れるなどを行なっていた大手派遣会社もあった。まるで派遣スタッフが通販番組の商品みたいではないか。

 もっとも派遣という働き方については、派遣スタッフについても一定のメリットはある。組織に従属して、上の役職目指すことが苦手な人はいる。自分のジョブに誇りを持ちたい人だっている。プライベートと両立させたい企業だってある。

 派遣会社についてまるで悪の結社、地獄の軍団のような印象を抱いたかもしれないが、そんなことはない。「優良派遣会社」というのも存在するのである。手厚くカウンセリングをしてマッチングする、トレーニングの機会を設ける、派遣先にちゃんと要望を伝える、年齢に関係なく紹介する、派遣する人材の特徴や分野を特化しているなどの特徴を持つ派遣会社はある。たとえば、ビー・スタイル(http://www.b-style-part.net/index.php)という派遣会社は既婚女性(主婦)に特化することで注目を集めている。

 私が疑問を持ってきた派遣に関する編集記事も全てがプロパガンダ的なものだったわけではない。派遣にもノウハウが

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筆者

常見陽平

常見陽平(つねみようへい) 千葉商科大学国際教養部准教授 いしかわUIターン応援団長  社会格闘家

一橋大学商学部卒業、同大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年より千葉商科大学国際教養学部専任講師(2020年4月より准教授)。専攻は労働社会学。執筆・講演など幅広く活動中。『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)、『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)、『「就活」と日本社会』(NHK出版) SNS  twitter yoheitsunemi  facebook yoheitsunemi

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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