2011年11月30日
「経済成長は手段であって、国の目的は人々の幸せ」なんてことは、言われなくてもわかっている。でも、幸せは数字で表せないので、手段である経済成長を目的であるかのように扱わざるを得ない。これが多くの先進国のこれまでの常識だったと思う。
ブータンがすごいのは、そんな常識に目もくれず、国の目的を国民総幸福量の増大とうたって、きっちり指標化していることだ。そして、それを掲げて国が実によく治まっていることだ。
ただ、ブータンのやり方を日本にそのまま持ち込めるかというと、そういうものではなさそうだ。指標は「基本的な生活」「環境」「健康」など9つあり、合計72項目の質問を面談ですることによって数値化されている。質問を見れば、今の日本にはとてもなじまないものが多い。例えば、基本的な生活の中の質問を見ると「日常生活のなかで、カルマについて考えますか」という項目がある。
カルマとは仏教用語で「業」のことだが、これは「考える人」が幸福で「考えない人」は不幸に色分けされるようだ。敬虔な仏教国ならではの指標だ。健康の質問では「子どもはどれくらいの期間、母乳で育てられるべきですか」とあるが、これは長い期間を答えるほど幸せに方向付けされるようだ。日本でこうした質問と解釈をすると、抗議が殺到するのは間違いない。
文化では「この1年でどれくらいの頻度で伝統的なスポーツをしましたか」という質問がある。これも頻度が多ければ多いほど幸せ方向になるようだが、
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