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トヨタのこれから、章男社長の経歴に期待

常見陽平 千葉商科大学国際教養部准教授 いしかわUIターン応援団長  社会格闘家

 私は元トヨタ自動車関連会社の社員だ。トヨタ自動車とリクルートグループが合弁で2002年に立ち上げた人材育成会社オージェイティー・ソリューションズの立ち上げメンバーとして出向していたのだ。

 私は、ここへの出向の内示を聞いたときに、心身ともに震えるほどの不安を抱いた。というのも、私はトヨタ自動車にも、トヨタのクルマもまったく共感できなかったからだ。大学の生産管理の講座で、教授が言っていた言葉が忘れられない。「トヨタ自動車って経営学の世界でも評価されているけどさ、お前ら、勤めたいと思うか?」。

 今、振り返るとかなりの問題発言だが、この言葉に私は激しく共感した。素人視点で考えてトヨタ生産方式も改善も搾取のモデルだと考えてい た。トヨタ車にも全くそそられなかったし、トヨタ車にも乗っていなかった。

取材に答えるトヨタ自動車の豊田章男社長=2011年11月10日午後5時32分、名古屋市中村区名駅4丁目、越田省吾撮影

 ところが、一緒に仕事をしてみて驚いた。彼らは実に楽しそうなのだ。愛社(車)精神に満ちあふれていた。彼らはまさに最強の社員たちだった。20代の社員から役員クラスまでが例の「何故」を5回繰り返していた。そして、「ものづくりは人づくり」と言い、人材育成に他大なる時間とお金をかけていた。

 私はといえば、立ち上がったばかりの合弁会社で広報担当をしていた。当時は空前のトヨタブーム。日本のものづくりの将来が危ぶまれる中、

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