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 欧州債務危機が続く。12月9日、EU首脳は財政規律強化で合意した。イギリスの離反という大きな代償を支払ったうえでの合意だ。

 しかし、金融市場の動揺は収まらない。金利は上昇し、株価やユーロは下落だ。各国議会がスムースに承認するかなど手続き面に加え、国債の格下げや利回り上昇が各国で相次ぐなか、万が一の場合、各国を支援するIMF(国際通貨基金)やESFS(欧州金融安定ファシリティ)に対して資金不足懸念が強まったからだ。

 破綻シナリオが現実度を増せば、実際に資金不足に陥る前に金融市場は機能停止しよう。絵空事ではない。

 直近では2008年9月のリーマン・ショックが典型例だ。金融機関相互に疑心暗鬼が拡がり、金融が目詰まりを起こした。その結果、例えばロンドン市場の銀行間取引ドル金利は5%台半ばへ撥ね上がった。現状、3ヵ月物で0.5%台半ばと当時に比べれば大幅に水準は低いが、8月初来、同金利の上昇に歯止めが掛からない。

 もっとも、悪いことばかりではない。まずユーロ安は輸出にプラスだ。メリットをとりわけドイツが享受する。失業率は2005年から趨勢的低下を続け、本年10月には5.5%と両独統合に沸いた1991年以来の低さに達した。鉱工業生産も月毎の変動はあるものの、リーマンショック後の回復傾向が続く。ドイツでは企業、個人の両セクターとも堅調だ。輸出が増え景気が良くなると通貨高が進行して回復軌道に冷や水が掛けられたかつてのマルク時代と大違いだ。

 さらに危機は改革の原動力だ。平時であれば、

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筆者

藤井英彦

藤井英彦(ふじい・ひでひこ) 株式会社日本総合研究所 調査部長/チーフエコノミスト

【退任】(株)日本総合研究所 理事/チーフエコノミスト。83年東京大学法学部卒業。同年住友銀行入行。90年より(株)日本総合研究所、11年から現職。共著に「オバマのアメリカ 次なる世界経済の行方」(東洋経済新報社)、「2006 図解 日本総研大予測」(徳間書店)、「図解 金融を読む辞典」(東洋経済新報社)。

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