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スズキ、三洋から東芝へ切り替えた理由

永井隆 ジャーナリスト

 環境技術の柱である、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など電動車両の商品化競争が急だが、自動車メーカーと電池メーカーとの関係が一部で揺れ始めている。

 スズキは、早ければ2012年秋の発売を目指して開発中の発電機付きEV「スイフトEVハイブリッド」に搭載するリチウムイオン電池を、従来の三洋電機製から東芝製に切り替えた。電動車両にとっての電池は、ガソリン車のエンジンと同じで最重要部品に当たる。なのに、なぜ切り替えたのか。背景には、どうやらトヨタ自動車の存在があった。

拡大スズキの「スイフトスポーツ」

 スズキの首脳は言う。「三洋は1月にパナソニックの完全子会社になるが、パナソニックとトヨタの関係は深い。先端分野であるEV技術は、トップシークレット。万が一にもトヨタに技術情報が漏れるのを恐れ、敢えて東芝に替えた」

 パナソニックはトヨタと合弁を持ち、ハイブリッド車(HV)「プリウス」向けに旧世代のニッケル水素電池を供給するなど両社の関係は以前から強かった。

 だが、トヨタは技術的にも、三洋との関係を深めている。トヨタが1月に発売する「プリウス プラグインハイブリッド(プリウスPHV)」は、三洋製電池を採用した。初年度に6万台を生産し日米欧で販売していく計画だが、トヨタが三洋製リチウムイオン電池を採用したのは今回が初めてだ。

 2年前に投入した実証車には、パナソニックの技術をベースにしたニッケルを正極に使用したリチウムイオン電池が載っていた。これが、今回のプリウスPHVに搭載の電池は三洋が開発した三元系(正極がニッケル、マンガン、コバルト)と呼ばれる新型だ。

 軽量、コンパクト、高容量(電気をたくさん蓄えられる)、さらにマイナス30℃など低温での動作特性が高い、などが特徴。プリウスPHVは、EVでは必須の急速充電インフラを必要としない。燃費は61.0km/L(JC08モード)で、原油高騰、地球温暖化、日本では電力不足などに対応できる環境車両としても期待は大きい。支えているのは三洋の電池技術である。

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筆者

永井隆

永井隆(ながい・たかし) ジャーナリスト

ジャーナリスト。1958年生まれ、群馬県桐生市出身。明治大学卒。1992年、勤務先の新聞社が実質的に経営破たんし、新聞を休刊。これに伴い失業を経験。93年にフリーで独立。新著に「サントリー対キリン」(日本経済新聞出版社)。著書に「人事と出世の方程式」、「国産エコ技術の突破力!」、「ビール最終戦争」、「敗れざるサラリーマンたち」など。

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