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 厚生労働省の労働政策審議会が、働きたい人全員を原則として65歳まで雇うよう企業に義務付けるべきだとする報告書をまとめた。野田政権はこれを受けて、雇用延長を盛り込んだ高年齢者雇用安定法(高齢法)改正案を来年の通常国会に提案するという。

 厚生年金の報酬比例(いわゆる2階)部分の支給開始年齢は、2013年度に男性が61歳となり、その後も3年ごとに1歳ずつ上がっていって、25年度には65歳になる。こうした「逃げ水」のような年金制度に対応するには、65歳までの雇用を義務づけすることは意義があるといえる。

 たとえ給料が下がるような雇用延長・再雇用であっても、継続雇用のほうが失業や無年金よりは良い。それに、体や頭が動いて社会に貢献できる間は、働くことが生きる喜びにもつながる。家でごろごろしていているだけでは、仲の良い配偶者とでも、つい些細なことで言い合いなどしてしまうことが多くなる傾向もあるようだ。

 多くの企業がこの義務をきちんと守るよう、経営者はもちろん、労組や働く人々に詳しく情報提供したり、すでに成功している具体例を紹介するといった措置を期待したい。

 ただし制度設計の工夫も必要だ。中小企業には緩やかな適用を例外として認めることも検討していい。それ以上に大切なのは、60代雇用が若者たちの雇用機会を奪うことにならないようにすることである。経営者にも労組や働く人々自身にも、おおいに考えてもらいたい点はこのことだ。

 これを機にワークシェアリングのあり方を考えて実施に移さないと、若者の雇用を年寄りが奪ってしまって、悲劇的な世代間対立を引き起こしかねないことを筆者は危惧する。そんなことになるのなら、

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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

ジャーナリスト、上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で取材。論説委員、編集委員を経て2014年から現職。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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