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「Japan inside」がモノ作りの生きる道

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 2012年の世界経済はどんな風景になるのだろう。米国の雇用・消費・住宅・生産などの景気指標は昨年末から相次いで堅調な数字を見せている。世界展開する米国の大企業の業績も悪くない。リーマンショックで打撃を受けた米国の家計の負債圧縮にはあと1年半~2年かかるとされる。そこに向けて波乱含みながら、2012年の米国経済は緩やかな回復基調を確認する年になる、と筆者は予想している。

 欧州問題などで世界経済の混乱・停滞を予測するエコノミストが多い中で、日産のゴーン社長は「欧州だけがマイナスで取り残され、ほかの地域は意外に明るいのではないか」と前向きに予測する。トヨタも失地回復を期して今年は865万台という過去最高の生産台数を計画している。先々の受注動向が販売回復を語りかけている。

 日本経済にとっては、米国の回復基調やアジアの成長をどれだけ取り込めるかがポイントになる。その担い手として筆者が期待するのは、3・11の大震災でサプライチェーンが崩壊した際にその強さが認識された日本の部品産業や化学素材産業である。

 その製品は高い評価を受けて世界の産業界の隅々に浸透している。経済産業省が推定した、日本製の先端製品・部材の世界シェアをみると、電子機器や電子部品は2割から3割強、化学素材は6割から8割を占めている。この数字が日本企業の強さを示している。

 その営業利益率(2010年度)は全体に高い。電子部品ではキーエンス(センサー)の47%を筆頭に、ヒロセ電気(コネクター)24%、日本電産(モーター)と村田製作所(コンデンサー)が13%、京セラ12%などと健闘している。

 なぜ収益性が高いかといえば、電子部品は多品種であり、それぞれの分野で1位メーカーがダントツの生産能力を持ち、寡占的な業界構造になっているからだ。寡占を守るために、たえず高品質を維持し、継続的な投資で量産効果を出し、供給量をコントロールしている。だからメーカーが「たくさん安く作れ」と言ってきても、「できません」と答える強さを持っている。

 化学素材でも、たとえば東レは営業利益率6.5%で、

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