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 ボストン郊外に住んでいた大恐慌の研究家チャールズ・キンドルバーガーを私が訪ねたのは1989年のことだった。朝日新聞ニューヨーク支局員として赴任して間もないころ、「大恐慌60周年」のインタビュー相手のひとりとして、選んだのだった。

 キンドルバーガー氏は大恐慌の教訓を説いた。「世界大恐慌の歴史的原因は、新たな覇権国家の地位を得つつあった米国が世界経済に対する責任を負う力を持ちながら、責任を担おうとしなかったことにある」と。主著「大不況下の世界」でもそういっている。

 また、世界各国が個別的利益を追求した結果、世界の公共的利益が失われた、とも。昨年インタビューした榊原英資・元財務官が世界経済について、米国中心から「無極化」の「カオスの時代」へと突入すると分析したのも、キンドルバーガーを引用してのことだった。

 世界は今、キンドルバーガーから学ばなければならない。そして特にドイツは、今こそキンドルバーガーの指摘を正面から受け止め、ユーロ圏と欧州の危機に対して全面的に責任を負うことを決断しなければならない。

 また、ある意味では中国も、キンドルバーガーに学んでより大きな責任を果たすことで世界の新たな一極としての存在感を実証することをためらってはならないといえよう。

 具体的に言えば、ドイツが欧州に対して責任を負うためには、

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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

ジャーナリスト、上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で取材。論説委員、編集委員を経て2014年から現職。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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