2012年01月27日
東京大学が、秋入学に全面的に移行すべしとする中間報告を出して話題となっている。他の11大学にも同調を呼びかけ、複数の大学では既に検討が始まったという。海外では秋入学が一般的であり、海外と揃えることで、より活発な人材交流を図ることが可能となる。これは大学、学生の双方にとって大きなメリットだ。
さらには、この改革は大学のみならず、日本社会にとっても破壊的なイノベーションをもたらす可能性もある。この重要性について簡単にまとめておきたい。
戦後の高度成長期以降、日本企業は新卒一括採用を通じて、4月1日にまとめて人員を採用し続けてきた。また、給与制度も独特で、職能給と呼ばれる前年度への積み上げ式の属人給だ。新人は最も安い初任給から横並びでスタートし、勤続年数に応じて昇給していくことになる。
要するに、義務教育、高校、大学から終身雇用と言う具合に、社会全体に堅牢なレールが敷かれていたようなものである。東大の決定は、大学の側からレールのない期間を半年ほど生み出そうというものだ。その半年間、学生は自分の意思で、世界中で学問や経験を積むことが可能となる。
一方で企業の側も、終身雇用や、それを目指してレールに乗って運ばれてくる22歳の新卒には辟易している。高度成長期の企業戦士としてはともかく、グローバルな労働市場においては、日本の終身雇用向け人材はあまりにも柔弱すぎるのだ。結果、グローバル企業を中心に、自分の意思でキャリアを磨いた人間を優先的に採用する流れが起こるだろう。
もちろん、
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