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 原発は再稼働すべきか、その基準をどう考えればいいのか。それを国民が考え、議論し、選べるようなデータ、情報を政府と電力会社は隠さずに全部出せ、といいたい。それらのデータが不十分なままだと「原発を全部止めたら日本経済と生活がダメになる」という意見と「苦しくても原発全廃を。やればできる」という主張の対立が延々と続き、議論は収斂しないのではないか。

 私自身、このさい原発ゼロをなるべく早くやってもらいたいと思うが、それにはどれくらいの負担やがまんが必要なのかを度外視して政策として「今春ゼロ」を決めていいとは思わない。判断根拠が乏しいままでは、どうにも前へ進めない。とくに電力会社の責任は重い。

 こうなったのも津波を想定できなかった東電の手抜かりや、それを見逃してきた経産省・原子力安全保安院の罪だが、だからこそ経産省と電力業界は国民の信頼を裏切ったことの反省に立ってデータをすべて公開しなくてはならないのではないか。

 それなしに「値上げは義務であり、権利」「ストレステストでは安全」などといってもだれが納得できるだろうか。

 たとえば、この夏は原発ゼロで乗り切れるかどうか、について取り急ぎ開示すべきは、

(1)原発ゼロを急ぐ場合、代替火力(ガスタービンの臨時増設など)はどれくらい確保が可能なのか、それと組み合わせる節電の幅はどの程度か

(2)再生可能エネルギーが育つまで火力で代替し続けるとしたら、コスト負担はどれだけ増えるのか(過去に20%増とかの試算をした経産外郭団体があったはず)。電力会社ごとにはどうか

(3)可能な節電幅と実績、代替火力の限界を考えて、最低限稼働しなくてはならないと政府あるいは電力会社が考えている原発は具体的にどれか

といったデータや基本的考えである。

 これと並行して、

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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

ジャーナリスト、上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で取材。論説委員、編集委員を経て2014年から現職。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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