原田泰(はらだ・ゆたか) 原田泰(早稲田大学教授)
早稲田大学教授。1974年東京大学卒業後、同年経済企画庁入庁、経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長などを経て、2012年4月から現職。「日本はなぜ貧しい人が多いのか」「世界経済 同時危機」(共著)「日本国の原則」(石橋湛山賞受賞)「デフレはなぜ怖いのか」「長期不況の理論と実証』(浜田宏一氏他共著)など、著書多数。政府の研究会にも多数参加。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
原田泰
■国民の委託を自覚している国とそうでない国
連邦準備制度が、インフレ目標政策を採用したことについて、より積極的な金融緩和によってデフレから脱却すべきだという、いわゆるリフレ派のエコノミストは歓迎し、反リフレ、日銀寄りのエコノミストは反対している。しかし、この発表では、インフレ目標とともに、同じくらいに、あるいはそれ以上に重要なことが書かれている。
1.アメリカの中央銀行である連邦準備制度の目標は議会により、すなわち国民から与えられていること
2.その目標は最大の雇用、安定的な物価、そして適度の長期金利であると明確にされ、
3.それを達成することと調和的なインフレ率は2%であると目標が具体化され(インフレ目標政策の採用)、
4.物価は金融政策で決定されるものだから、連邦準備は2%のインフレ率を実現できる(日本銀行とその関係者は、物価は金融政策で決定されるものではないので日銀は2%のインフレ率を実現できないと考えている)
と記されているのである(カッコ内は筆者による)。
ひるがえって日本のことを考えると、議会が何を日銀に目標として与えているのか、議会も日銀も意識しておらず、その具体的な目標も示されず、
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