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 橋下徹さんが大阪府知事から大阪市長に鞍替えし、滋賀県大津市では、越直美さんが最年少の女性市長となった。2人とも若いだけではなく、ともに弁護士出身者である。地域経済の衰退、生活保護を含む地方の歳出カット、そして積み重なる住民の閉塞感は、東京で想像するより大きい。そうした閉塞感払拭の渇望が市長交代の背景にある。

 変化を明らかに求めている無党派層は、野田首相が政治生命を賭けたとする消費税の増税程度では、決して満足しないだろう。地方政界の新風は、無党派層が、政権の次の政策を強く催促しているように思えてならない。

新興国を投資家として認識する財務省

 リーマンショック前の経済状況を振り返る重要性を痛感し、最近、読み返した川北隆雄(2005)『経済論争』岩波書店によると、財務省は2005年1月、ロンドンやニューヨークで、投資家向けに日本国債の説明会(IR)を初めて開いたという。

 財務省はその後、香港、シンガポール、タイ、豪州、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ロシアなど新興国も含めて世界各地でIR活動を続けている。多様で長期の投資家に期待するという点では、上場したばかりのベンチャー企業や、株価低迷による資金調達難を懸念する老舗企業が、海外のアナリストや投資家を集めてIRを開催するのと基本的に変わらない構図である。

日本国債の海外IR実施から7年

 財務省の国債に関する海外IR実施から7年が経過したが、分母(経済)が縮小するなか分子(債務)が拡大し、日本の政府債務比率もGDPの2倍を超えるようになった。名目GDPが伸びないなか、政府債務はじりじり増加している。世界最悪の値を更新中である。

 日本は昨年9月末現在、954兆円の政府債務があり、このうち国債が778兆円にのぼる(http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/2309.html)。国債残高だけでも、消費税(地方消費税を除く)に換算すると309%に相当する。2004年9月末では国債残高は586億円のため、7年間で30%程度増加している。

 一方、税収は確定した決算ベースで2005年度と2010年度を比較すると、17.5%と大幅に減少している。しかし消費税は5.2%と相対的に緩やかな減少にとどまっている。消費税は、国民生活全体に広く薄く課税されるため、法人税や所得税などに比べて景気変動を受けにくい特徴がある。徴収する財務省や予算配分に関わる政治家からすると、確実性の高い収入源で、「おいしい税金」とも言える。

 24日から開会した通常国会は、「消費税国会」として注目されている。野田佳彦首相は、税と社会保障の一体改革、つまり消費税増税と年金の一元化などに、「政治生命を懸ける」と明言している。首相と食事を共にした後藤謙次さんによると、強い決意を目の当たりにしたという(「消費増税を決断した野田首相に退路はない」)。

少子化など成長戦略の実施が不可欠

 2005年は日本が減少に転じた年で、日本は人口オーナス(重荷)期に入っている。一方、太平洋戦争が終わった後、生まれた団塊世代などが人口ボーナス期を支えた。平和が人口増加をもたらしたとすれば、現在の状況は、 ・・・続きを読む
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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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