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 岩波書店が22013年度の社員募集要項に「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」という一文を明記した。この件を各マスコミが報じ、ネット上でも炎上。2月3日の閣議後の会見で、小宮山洋子厚生労働大臣は調査に乗り出すと明言した。

 この光景を見て、牧歌的だと私は感じた。この報道で騒いだ人も、調査に乗り出すと言い出した小宮山洋子厚生労働大臣も、みんな今の就活の問題をわかっていないことが明らかになったからだ。

これは「コネ採用」ではない

 まず、岩波書店の今回の取り組みは「縁故採用」「コネ採用」と報じられ批判を受けたわけたが、これは一般的に言う「コネ採用」ではない。「紹介制」とでも言うべきものだろう。

 「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」とあるが、「元々の」というわけではない。これから人脈構築をして紹介をもらうことも可能である。このような問題が起きたとき、多くの人は例えば入試などと一緒に就活を論じるからややこしい。その入試でさえも、海外の大学院に留学する際には入試に教授の推薦状が必要だ。この推薦状をめぐったどろどろしたバトルも知っている。

 「それは、機会が平等であることを侵害している」という意見も見受けられたが、岩波書店から出版したことのある大学教授は多数いる。もちろん、首都圏などへの集中はあるが、自分の大学や、同じエリアにある大学で探せば、いなくはない。

 また、指導教官が岩波書店から書籍を出していたところで、その方から紹介状を必ずもらえるわけでもない。現在も水面下で行われている、リクルーターなどに会い、評価されなければ選考に進めないスタイルとあまり変わらないのではないだろうか。

 言うまでもなく、岩波書店は堅い書籍・雑誌を取り扱う出版社である。岩波書店からAKB48の写真集が出ることは未来永劫ないだろう。高校、大学時代に岩波新書や『世界』を愛読していた私にとって、岩波新書を出すことはささやかな夢であるが、今のような軽い文章を書いている私では無理だろう。

 入社後は大学教授など接点を作り、高度な学術用語を理解しつつ、本を仕上げなくてはならない。これは立派な入社問題とも言えるのではないだろうか。

 出版業界は冬の時代と言われながらも、学生にとっては憧れ業界である。元々狭き門であり、出版社によっては年によっては採用がないこともあるのに、出版社を志望する学生はとにかくこの業界に飛び込むためになりふり構わず大手から中堅・中小までひと通り受ける。

 それこそ本音ではAKB48の写真集を作りたい、岩波にはおよそ合わない学生も多数受けていたことだろう。このように「たくさん集めてたくさん落とす」状態になっているのが、出版に限らず、現在の新卒採用の課題である。

 残念だったのは、

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筆者

常見陽平

常見陽平(つねみようへい) 千葉商科大学国際教養部准教授 いしかわUIターン応援団長  社会格闘家

一橋大学商学部卒業、同大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年より千葉商科大学国際教養学部専任講師(2020年4月より准教授)。専攻は労働社会学。執筆・講演など幅広く活動中。『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)、『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)、『「就活」と日本社会』(NHK出版) SNS  twitter yoheitsunemi  facebook yoheitsunemi

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