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 日銀の14日の金融緩和策の発表後、為替は円安に進んでおり、株価は上昇している。欧州の金融危機への懸念が後退したこと、米国で雇用情勢が多少明るくなったことなどが背景にあるが、日銀の発表はタイムリーな措置だったといえる。

 日銀は、従来の政策を大きく転換したわけではないが、市場にとってはサプライズといえる面があった。

 一つは、日銀が望ましい物価上昇率を「中長期的な物価安定の目途」という言葉によってより明確にしたことである。目途というのも、あいまいな表現だが、これまでの「物価安定の理解」よりは一歩踏み込んだ感がある。 

 従来日銀は、インフレターゲットの導入には消極的だった。今回物価安定についての表現を変更したのは、米国連邦準備理事会(FRB)が物価上昇率の「長期的なゴール」を提示するなど、コミュニケーション戦略を練り直し、市場の期待に働きかけようとしていることが影響している。

 他国の中央銀行のインフレ目標が概ね物価上昇率2%程度である中で、当面の1%、という目標は低すぎるという意見もある。

 しかしデフレが長引く日本において、当面の1%は、現実的な線ではないだろうか。

 ただ、問題はその実効性であり、日銀がより強いコミットメントを示すとともに、例えば‘目途’からの乖離が予想される場合、追加的な政策を果断に遂行していくことが期待される。

 さらに、望ましい物価水準について、政府とも議論を交わし、デフレ脱却という点で、協調して取り組んでいくことも有効ではないだろうか。

 デフレの主な要因は、

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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

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