根本直子
2012年02月22日
日銀の14日の金融緩和策の発表後、為替は円安に進んでおり、株価は上昇している。欧州の金融危機への懸念が後退したこと、米国で雇用情勢が多少明るくなったことなどが背景にあるが、日銀の発表はタイムリーな措置だったといえる。
日銀は、従来の政策を大きく転換したわけではないが、市場にとってはサプライズといえる面があった。
一つは、日銀が望ましい物価上昇率を「中長期的な物価安定の目途」という言葉によってより明確にしたことである。目途というのも、あいまいな表現だが、これまでの「物価安定の理解」よりは一歩踏み込んだ感がある。
従来日銀は、インフレターゲットの導入には消極的だった。今回物価安定についての表現を変更したのは、米国連邦準備理事会(FRB)が物価上昇率の「長期的なゴール」を提示するなど、コミュニケーション戦略を練り直し、市場の期待に働きかけようとしていることが影響している。
他国の中央銀行のインフレ目標が概ね物価上昇率2%程度である中で、当面の1%、という目標は低すぎるという意見もある。
しかしデフレが長引く日本において、当面の1%は、現実的な線ではないだろうか。
ただ、問題はその実効性であり、日銀がより強いコミットメントを示すとともに、例えば‘目途’からの乖離が予想される場合、追加的な政策を果断に遂行していくことが期待される。
さらに、望ましい物価水準について、政府とも議論を交わし、デフレ脱却という点で、協調して取り組んでいくことも有効ではないだろうか。
デフレの主な要因は、
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