小原篤次
2012年02月27日
中国からのニュースで、苹果(ピン・グオ)の見出しが躍っている。中国語でリンゴの意味、そう米アップルをめぐるニュースが中国でも急増している。
まずは、今年に入り、中国携帯電話3位の中国電信(チャイナ・テレコム)がアップルとiPhone4Sの販売協議が明らかになった。現地紙では3月中旬の販売が予想されている。日本と同様に、2社がiPhoneを取り扱うことになる。
中国ではすでに、同2位の中国聯通(チャイナ・ユニコム)がiPhoneを提供し、4Sも発売前夜から徹夜客が集まり混乱した。販売直後、人気商品の転売目的のプロ客も少なくなかった。
中国は、2011年第3四半期のスマートフォン販売台数で米国を上回り、世界最大の市場となっている。中国では2009年から3Gサービスが始まったばかりだが、スマホはすでに1億台を超えている。米投資銀行モルガンスタンレーは、中国市場におけるiPhoneの販売台数について、2013年には最大で4000万台に達する可能性があるとのレポートを発表している。中国も今後、携帯電話の買い替えが主流となり、キャリア間の顧客獲得競争で、アップルのブランド力が求められている。
次に、中国の生産委託先の労働環境の問題だ。アップルの高収益は自社工場を持たない、つまり米国ではなく中国で委託生産するところでニュースが生まれている。
CNNは、中国の絶望工場の様子を伝えている。電子製品の製造受託サービス(EMS)世界首位の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の中核子会社、「富士康国際(フォックスコン)」の従業員(四川省)は、労働時間は週60時間、残業代を稼ぐためにさらに何時間も超過勤務を重ね、賃金は月に1300人民元(約1万5000円)程度だという。http://www.cnn.co.jp/business/30005526.html
中国におけるiPhone4Sの販売価格は日本とほぼ変わらない。上記の月給だと4、5カ月分に相当し、従業員には手が届かない高嶺の花である。フォックスコンの工場(広東省深セン市)では2010年、飛び降り自殺が相次いだ。地方や農村からの若い手稼ぎ労働者で組立工場は支えられており、フォックスコンに限らず、労働条件の改善を求める声は高まっている。
アップルは2月13日、米国の「公正労働協会(Fair Labor Association:FLA)」が同社の要請により、中国の深圳市と成都市にあるフォックスコンの工場を含むアップルの最終組立サプライヤーの特別自主監査を実施すると発表した。ティム・クックCEOは「どこで働く労働者も安全で公正な労働環境で働く権利を持つと信じています。だからこそ、FLAに当社最大のサプライヤーの労働環境を独自に評価していただくよう要請いたしました。現在行なわれている査察は、その規模、範囲ともにエレクトロニクス業界で前例のないものです」とのコメントを発表している。
もうひとつは、商標権問題だ。
中国企業が米アップルのタブレット型端末「iPad」の商標権を持つと主張し、
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