2012年03月21日
5月22日の東京スカイツリー(以下、スカイツリー)開業まで、あと2カ月となりました。集客施設の開業や大規模イベントの開催にあたっては、必ず経済波及効果の算出が行われますが、スカイツリーは、とても効果の高い観光資源となることは間違いありません。墨田区によれば、スカイツリーの経済波及効果は年間880億円とされていますが、この数字の中身にこそ、スカイツリーのよさがあります。
経済波及効果は、その施設やイベントで消費する金額を前提、インプットとします。880億円の場合はスカイツリー周辺での飲食費なども効果に含むようですが、このときよく指摘されるのが、どうせ他で使っていたお金じゃないかということです。よって、経済波及効果は、「墨田区では」、といった言い方になります。そもそもの消費者のお財布から出る金額が変わらなければ、墨田区はいいけど競合する集客施設のある○○区は減ってしまうので、範囲を拡げるとゼロサムになるからです。
従って、スカイツリーができることで、新たな消費が生まれるかを先ず考えてみる必要があります。高すぎると話題になった入場料ですが、締めていた財布のヒモは確実にゆるむと思います。なぜならスカイツリーは、何度も行くところではないからです。昔の東京タワーのように、1生に一回いけばよいという価値を提供する(と思います)。この場合、入場料自体はあまり問題にならないですし、リピート率を気にする必要もないということなります。
年間500万人と想定されている入場者をベースにすると、仮に日本国民全員、1億2千万人がスカイツリーに登るには、ざっと24年かかる。おでかけにほとんど興味を持たない私の子供達も、さらに興味を持たない妻も「行きたいね、でも2年か3年たって空いたらね」と言っています。今後、国内人口は減少していきますが、24年の間に生まれて成長した多くの日本人が、スカイツリーに登るのではないかと思います。500万人×1,500円/人、控えめな数字でみたとしても、75億円/年はかなり長く続くでしょう。
年間500万人は、大きくもあり、小さくもある数字です。例えば、
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